The Japanese Journal of Antibiotics
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3', 4'-Dideoxykanamycin Bの毒性に関する研究 第2報
ラットおよび家兎に対する亜急性毒性
小枝 武美小滝 益三久松 充佐々木 斉横田 正幸新里 鉄太郎内田 信吾
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1973 年 26 巻 3 号 p. 228-246

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抄録

DKBをWistar系ラットおよび白色家兎に1日1回, 35日間 (日曜日は休薬), 筋肉内投与して, その亜急性毒性を検討し, 次の結果を得た。
I. ラット
1) 雄, 雌とも200mg/kg以下の投与群では死亡例はなく, 400mg/kg投与群の雄で8例, 雌で4例が死亡した。
2) 一般状態に関しては, 雄15mg/kgおよび雌50mg/kg以下の投与群で著変はなかつたが, 雄25mg/kg以上, 雌100mg/kg以上の投与群で自発運動の減退, 呼吸数減少, 失調性歩行をみとめた。これら症状の発現強度および例数は, 投与量に比例し, 常に回復までに1~5時間を要した。
3) 雄15,50mg/kgおよび雌200mg/kg以下の投与群では, 平均体重は対照群とほぼ同等, または, 上まわつたが, 雄25,100,200mg/kg投与群, 雌400mg/kg投与群では, 対照群を下まわる傾向を示した。
4) 平均摂餌量に関しては, 雄100mg/kg以下, 雌200mg/kg以下の投与群では, 対照群とほぼ同等, または上まわつたが, 雄200~400mg/kg, 雌400mg/kg投与群では, 対照群を下まわつた。
5) 血液像および血清, 尿試験では血清中のBUNの増加, 尿のpHの低下とOPの低下, Gluの陽転, RBC, Hct, Hb値の減少などが認められ, 腎機能への影響がみられたが, 特に重篤な症状とは考えられなかつた。
6) 病理組織学的には, 100mg/kg以上の投与群に腎障害がみとめられ, 肝では長期間投与による軽微な影響が推察された。
II. 家兎
1) DKBの各投与群で, 死亡例はなかつた。
2) 各投与群とも, 一般状態に著明な変化はみとめられなかつた。
3) 平均体重, および摂餌量に関しては各投与群とも対照群とほぼ同様に推移した。
4) 血液像および血清, 尿試験では, 2, 3の項目に軽微な変動をみとめたが, 肝および腎機能の特異的障害を示すほどのものはない。
5) 病理組織学的には, 40mg/kgの高投与群において, 腎および肝の軽微な変化がみとめられた。

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