1976 年 29 巻 7 号 p. 711-714
Amoxicillin (α-Amino-p-hydroxybenzyl penicillin, 以下AMPCと略す)は, 英国ビーチャム社で開発された新合成経口用Penicillinで, Ampicillin (以下ABPCと略す) のベンゼン核のパラ位に水酸基を導入したものである。
AMPCは, ABPCと同等度の抗菌力と抗菌スペクトラムをもち, しかも吸収性がすぐれているため, ABPCと同量投与で比較したばあい, ABPCの約2倍の血中濃度が得られ, また食事によつて吸収が影響されないという特徴がある。
先にわれわれは, 協和醸酵K. K. からAMPC (販売名: パセトシン) の提供を受け, 外科領域における感染性疾患および術後感染予防を対象とした成績を報告した1) が, 今回, 特に肛門疾患を中心とした感染治療および術後感染予防に対して使用してみたのでその臨床成績を報告する。