1978 年 31 巻 11 号 p. 651-658
頭頸部領域の悪性腫瘍の大部分は扁平上皮癌であり, 放射線感受性が比較的高く制癌剤との併用で, 近年きわめてよい治療成績をおさめてきている。扁平上皮癌 (以下S.C.C.) に, 特異的に有効であるBleomycin (以下BLM) が, これまで劇的な治療効果をおさめてきたことは周知のとおりであるが, 難点の1つとして肺線維症があげられていた。今回Pepleomycin (以下NK 631) が開発され, 肺線維症を惹起することの少ない薬剤として登場した。われわれも10人の患者にこのNK 631を使用し, 臨床経過と病理組織学的所見について検討をおこなつたので報告する。