The Japanese Journal of Antibiotics
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小児細菌感染症に対するCefamandoleの臨床使用経験
市岡 隆男宮尾 益英
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1979 年 32 巻 9 号 p. 901-904

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抄録

抗生物質は, 日常診療において不可欠の薬剤であるが, 最近, その乱用や大量使用傾向などにより, 耐性菌の出現や感染症の変貌が大きな問題となつてきた。このような状況のなかでCefamandole sodium (7-D-Mandelamido-3-[[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl)-thio]methyl]-3-cephem-4-carboxylic acid, sodium salt (以下CMDと略す) が米国のEli Lilly社で開発され, その抗菌力が注目されている。 CMDはセファロスポリン誘導体であり, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に強い抗菌力を示し, 特にIndole positive Proteus, Enterobacterを含む腸内菌科の細菌に強い抗菌力をもつのが特徴である1)。 また, in yitroH.influenzaeに対するすぐれた抗菌力がみとめられており2, 3), アンピシリン耐性株に対する新らしい抗生物質として期待されている。
小児に静注使用したばあい, CMDの血中半減期は30分~1時間であるが, MEYERs4) とERNSTら5) は, 37mg/kgを1回静注したばあい, ほとんどの病原菌に対して, 幼児では5時間, それよりも年長児でも4時間以上は, MICを上回る血中濃度を維持できると報告している。
今回私たちは, 塩野義製薬から供与されたCMDを, 徳島大学医学部附属病院小児科に入院した感染症患児12例に使用する機会を得たので報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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