1981 年 34 巻 9 号 p. 1244-1254
近年, 抗生物質のめざましい進歩にともない, また, 長期投与, 乱用等による感染症の変貌により難治性慢性呼吸器痴患, 特に菌交代現象による緑膿菌を起炎菌とする難治性感染症が増加している。緑膿菌感染症の治療に有効な抗生物質はCabenicillin (CBPC) から始まるPenicillin (PC) 系もあるが, Gentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Dibekacin (DKB) 等のAminoglycoside系抗生物質が現在最も有効である。しかし, これらAminoglycoside系抗生物質には耳毒性, 腎毒性の副作用が, 高い血中濃度の時に発現するといわれており投与方法に注意を要する。
今回, 我々はStreptomyces tenebrariusの培養液から単離により作られるAminoglycoside系抗生物質TOBについて, 緑膿菌による慢性呼吸器感染症を対象として点滴静注投与し臨床効果および安全性を検討したので報告する。