The Japanese Journal of Antibiotics
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[汎用抗生物質I] Piperacillin
上田 泰松本 文夫
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1983 年 36 巻 4 号 p. 653-677

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抄録

近年, 抗生剤の開発はめざましく目下の開発の主流を占めるものには, Penicillin剤, Cephem剤などのβ-ラクタム抗生剤とアミノ配糖体剤がある。
Penicillin剤はAmpicillin (ABPC) をはじめ,Carbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC)の開発によつて, Escherichia coli,Indole (-) Proteus感染症からIndole (+) Proteus,Pseudomonas aeruginosa感染症に適応が拡大されたが, 更に, 最近では, 抗菌力の増強や抗菌スペクトルの拡大を求めて開発が続けられている。
富山化学工業綜合研究所で開発したPiperacillin (PIPC) は, 注射用の広域Penicillin剤で, ABPCのAmino基に4-Ethyl-2, 3-dioxopiperazinylcarbonyl基を導入したもののNa塩である (Fig. 1)。
PIPCはGram陽性球菌, Gram陰性桿菌並びに嫌気性菌にまで抗菌スペクトルが拡大され, 特にKlebsiella, Enterobacter, P. aeruginosaに対して優れた抗菌力を有し, Cephem剤に抵抗性を示すStreptococcus faecalisにも抗菌力を有することが特長である1)。
本剤は国内, 国外で検討され2~7), すでに欧米諸国で広く使用されているが, わが国においては, 1980年2月から発売され, 広域Penicillin剤の中でも第1級のものとして今日, 高い評価を得ている。
以下, PIPCについてその概要を記述する。

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