抄録
Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) はスイス, エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社で開発されたいわゆるセフニム系第3世代の抗生物質で, その構造式は図1に示すとおりである。3位側鎖に新たにトリアジン環を有する。本剤はEscherichia coli, Klebsiella pneumoniaeはもとよりProteus mirabils, Serratia marcescens, Haemophilus influenzaeに強い抗菌力を示し, 広い抗菌スペクトラムを持つ。薬理学的には, 高い血中濃度と7~8時間と言う長い半減期を特徴とする。体内ではほとんど代謝を受けず, 未変化体のまま尿中に48時間までに約60%が排泄される。
今回, われわれはCTRXの女性性器組織内濃度, 骨盤死腔液中濃度及び静脈血中濃度を測定し基礎的検討を行うと共に, 産婦人科領域感染症患者7例に本剤を投与し, 臨床的検討を行つたのでその結果を報告する。