抄録
TMS-19-Qは東洋醸造 (株) 研究所で開発された新しい16員環マクロライド系抗生物質で, Kitasamycinの有効成分の1つであるLeucomycin A5の3位を化学的にプロピオニル化することにより得られたものである。その化学構造式は図1に示したとおりである。
本剤の抗菌スペクトルは, 従来のマクロライド系抗生物質と同様に, グラム陽性球菌, 嫌気性菌, Legionella, Campylobacter, Mycoplasmaなどにあり, グラム陰性菌には抗菌力がほとんど認められない。本剤はこれらの菌に対し, Josamycin (JM) やMidecamycin (MDM) に比べてやや抗菌力が強く, 他のマクロライド耐性菌に対しても一部良好なMICを示すことが特徴とされている。本剤は経口投与により速やかに吸収され, 優れた血中濃度を示し, 毒性試験の結果でも, 従来から使用されているマクロライド系抗生物質と同様に安全性が高いことが示されている1~4)。
今回, 表1に示した全国の24機関及びその関連施設の協力のもとに, 呼吸器感染症に対する本剤の有効性及び安全性の検討を行つたので, その成績について報告する。