抄録
Cefminox (CMNX, MT-141) は明治製菓中央研究所において新たに合成されたセファマイシン系新抗生物質である。本剤の合成, 作用機序, in vitro, in vivoにおける抗菌作用についてはすでに報告がある1~7)。又, 本剤は1. 各種好気性及び嫌気性グラム陽性菌, グラム陰性菌 (緑膿菌を除く) に活性を示し広い抗菌スペクトルを有する, 2. グラム陰性菌に強い抗菌力を有し, 特に他のセファロスポリンと比較して, Bacteroides fragilis及びCampylobacter jejuniに優れた抗菌力を示す, 3. Escherichia coli, Klebsiella, Serratiaなどの菌に対し低濃度, 短時間の接触でも強く且つ速い溶菌, 殺菌作用を示す, 4. ヒトの血中半減期が約2時間半であり, 体内でほとんど代謝されることなく尿へ約90%排泄される, などの特長を持つている。本剤については, すでに成人での臨床評価が検討されている。しかし小児科領域における臨床評価は未だ検討されておらず報告がみられない。今回われわれはCMNXを各種小児感染症の治療に使用する機会を得たので報告する。