1985 年 38 巻 4 号 p. 1117-1140
Cefaclor(以下,CCL)は既存の経口用セフェム系抗生物質に比べ, in vitroで抗菌力の強化, 拡大が認められ, 短時間で強い殺菌作用を示すことが特徴とされている1~3)。我が国では1982年に発売され, 今日に至るまで各科領域における種々の感染症に繁用されており, その有効性及び安全性の面から有用性の高い抗生物質と評価されている。
このCCL通常製剤に比べ血中濃度が持続し, 朝夕1日2回の服用で同等の効果が期待できるCCL持続性製剤の設計が塩野義製薬(株)においてなされ, in vitroにおける生菌数変化からみた殺菌効果実験では, CCLの速溶性顆粒と腸溶性顆粒の混合比は力価において4:6が最適である4)と結論されている。
このことを臨床的に裏付けるために, 今回我々は歯科領域感染症を対象とし, CCL持続性製剤の速溶部と腸溶部の最適混合比, 並びにその製剤の有効性, 安全性及び有用性について, CCL通常製剤を対照薬として二重盲検法により比較検討したので報告する。