The Japanese Journal of Antibiotics
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血液疾患に合併した重症感染症に対するAztreonamの臨床効果と安全性の検討
堀内 篤平山 文也柴田 弘俊川越 裕也永井 清保安永 幸二郎陰山 克米沢 毅木谷 照夫正岡 徹岡本 緩子
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1985 年 38 巻 9 号 p. 2402-2412

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抄録

Aztreonam (以下AZTと略す) はMonobactam系に属する全化学合成抗生物質である1)。グラム陽性菌あるいは嫌気性菌に対する抗菌力は弱いが, Pseudomonas aeruginosaを含む好気性グラム陰性菌に対しては非常に抗菌力が強く, in vitroの成績では従来のいわゆる第3世代Cephem系抗生物質, 広域ペニシリン, アミノ配糖体などと比較しても同等ないしやや優れた抗菌力を示す2~4)。P. aeruginosaに対してMIC90が12.5μg/ml, Serratia marcescensに対してMIC90が6.3μg/mlであるのを始め, 他の多くの腸内菌に対してMIC90は0.20μg/ml以下である5)。
臨床効果についても各種感染症に対する効果が検討され, 呼吸器系感染症, 尿路系感染症, 肝・胆道系感染症などに対して, それぞれ66.4%, 62.8%, 73.3%の有効率が得られている6)。
今回, 我々は血液疾患に合併した感染症に対するAZTの効果を検討したが, 本感染症では顆粒球減少例が多く, 又, 原因菌不明の場合が多い7)。従つて抗生物質の性質として顆粒球減少時や原因菌不明例における有効率の高いものが望ましい。本研究の目的はAZTのこのような場合における効果と副作用を明らかにすることにある。

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