The Japanese Journal of Antibiotics
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SM-4300の臨床的検討
永渕 正法澤江 義郎
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1985 年 38 巻 9 号 p. 2535-2541

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抄録

新しく開発された静注用ヒト免疫グロブリン製剤であるSM-4300の有用性について, 重症ないし難治性細菌感染症を対象として臨床的検討を行つた。
九州大学第1内科入院患者の急性骨髄性白血病や多発性骨髄腫の血液疾患のほか, 肺癌, 気管支拡張症などの各種基礎疾患のあるものに合併した肺炎10例, 置換弁心内膜炎1例, 胆嚢炎と心外膜炎の併存例1例, 不明熱1例の計13例に, SM-4300の5g, 1回あるいは2.5g, 3回の投与を, 3日間以上継続している化学療法剤に上のせして行い, その臨床効果を判定した。その結果, 有効4例, やや有効4例, 無効2例, 判定不能3例であり, 有効率は40%であつた。細菌学的には菌減少, 菌残存が各1例認められたものの, 大部分は不明であつた。副作用としては何ら認められず, 臨床検査成績にも本剤によると思われる変動はみられなかつた。そこで難治性細菌感染症に対してSM-4300は有用性があると言える。

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