1986 年 39 巻 10 号 p. 2775-2779
慢性腎不全の患者においては,ある種の抗生物質ではその体内からの除去が遅延する場合があることが知られている1吻。従つて,そのような患者においては当然抗生物質の投与量に修飾を加える必要がある。しかしながら,腎不全患者での抗生物質の体内での動態が詳細に検討されていないこともあり,その実際の使用に当つてはかなりの部分について経験的なものに頼つているのが臨床の現楊での実情である。従つて,腎不全の患老でのそれぞれの抗生物質の動態を検討することは意義あるものと考えられる。今回我々は,第3世代のセフェム系抗生物質で,主として胆道系から排泄を受けるため6・7)腎不全患者にも使用しやすいと考えられるセフォベラゾン(以下CPZ)の,特に腹膜透析及び腹腔内投与時の血中濃度の推移について検討を行つた。