抄録
ブドウ球菌はペンジルペニシリン (PCG) が著効を示す細菌種であったが, ペニシリンの多用に伴って, ペニシリナーゼプラスミドを持ったPCG耐性菌が増加し, 特に院内感染菌株のほとんどはPCG耐性化するに至っている1)。そこで, これらの耐性菌に対処するために, ペニシリナーゼ (PCase) によつて不活化され難いメチシリン (DMPPC) を始めとする半合成ペニシリンが導入された。しかし, DMPPCの導入はすぐにDMPPC耐性菌の出現をよんだ2)。しかもこれらの耐性菌はペニシリン系薬剤の標的タンパクであるペニシリン結合タンパク (PBP) に変異を持つ株であることが明らかにされた3, 4)。
セファロスポリン系薬剤は, ペニシリン系薬剤と同様にべータ・ラクタム環構造を持ち, 同じくPBPを標的にする抗生剤であるが, PCaseには抵抗性であり, PCGほどではないがブドウ球菌に対しても抗菌力を示す。これらセフェム系薬剤では, 本来の標的であるグラム陰性菌に対して抗菌活性を高める改良が加えられたが, それらは逆にグラム陽性菌に対する抗菌力を下げる効果となり, その多用は生体内でグラム陰性菌に対するグラム陽性菌の比率を高め, 感染起因菌でもグラム陽性菌を増やす結果になっている5)。
しかし, 最近セフェム剤でブドウ球菌に対する抗菌力を改善したものが開発されている。そこで, それらの一つであるCefuzoname (CZON) のDMPPC耐性ブドウ球菌(MRS)に対する抗菌活性を, 代表的セフェム剤と比較しながら最小発育阻止濃度 (MIC) によって調べた。