1986 年 39 巻 8 号 p. 2171-2192
Ceftazidime (CAZ) は英国グラクソ社で開発された新しいCephem系の注豺用抗生物質で, 広域抗菌スペクトルを有するが1, 2), 特にグラム陰性桿菌のSerratia marcescensやPseudomonas aeruginosaなどに強い抗菌力があり3~5), β-Lactamaseに対しても極めて安定であると述べられている6)。
本剤はすでに1982年の第30回日本化学療法学会総会の新薬シソポジウムで成人における有用性が論じられ7), その後小児科領域でも基礎的, 臨床的検討が実施され, 優れた臨床成績が報告されている8~5)。しかし本邦では新生児, 未熟児に対する検討はほとんどなされていないことから, 私たちは本剤を新生児, 未熟児に投与し, 血漿中濃度, 尿中濃度及び回収率を測定すると共に, 主に新生児, 未熟児の各種細菌感染症, 細菌感染症疑い例や感染予防が必要な症例に投与し, 臨床効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。