The Japanese Journal of Antibiotics
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T-2588のDisulfiram様作用の検討
肝分画中のAlcohol dehydrogenase及びAldehyde dehydrogenase活性と血中Ethanol及びAcetaldehyde濃度に対する影響
霜鳥 智也柴田 哲夫米田 豊昭
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1986 年 39 巻 9 号 p. 2301-2306

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抄録

Cephem系抗生剤の投与を受けた人の一部に副作用として飲酒により嫌酒薬 (Disulfiram) 服用時と類似した不快な症状を呈するDisulfiram様作用の発現が知られており, それらの薬剤の多くは化学構造上7-Aminocephalos-porinic acid (Cephem骨格) の3位に1-Methyl-1H-tetrazol-5-thiol側鎖を有している1~8)。Disulfiram様作用を有するCephem系抗生剤についてラットを用いての基礎的検討がなされた結果, 肝分画中のAldehyde dehydrogenase, Enzyme I (low-KmALDH) 活性の低下とEthanol (以下EtOHと略) 投与後の血中Acetaldehyde (以下AcHと略) 濃度の上昇が共通してみられることからヒトでのDisulfiram様作用発現の可能性を予想することが可能になつた9~14)。
新規エステル型経口用Cephem系抗生剤T-2588はCephem骨格の3位に5-Methyl-1H-tetrazoleを有するが, イオウ原子を介さずに直結型であるため, 飲酒後のDisulfiram様作用はないものと予想されるが, ラットを用い肝分画中のAlcohol dehydrogenase活性及びAldehyde dehydrogenase活性とEtOH投与後の血中EtOH及びAcH濃度に対する影響を検討したので報告する。

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