The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefmenoximeの体内動態の研究
子宮及び付属器内濃度
新藤 邦雄円谷 隆熱海 泰佐藤 昌幸
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1986 年 39 巻 9 号 p. 2386-2393

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抄録

感染症を治療するにあたつては, 起炎菌に対して強い抗菌力を持ち, 病巣部での組織内濃度が起炎菌に対するMICを越えて一定時間維持されており, 且つ副作用のない薬剤を投与することが化学療法の基本である。従来, 産婦人科領域においては, 抗菌力の強い広範囲抗生物質が血中濃度を参考にして経験的に投与されていた。しかし抗生物質の種類によつて血中濃度は異なるし, 又, 血中濃度と組織内濃度が平行しているとは限らない。それ故, 抗生物質の組織内濃度を知ることは, 抗生物質の投与にあたつて重要視されねばならない。最近, 武田薬品工業 (株) から発売されたCefmenoxime (CMX, Bestcall®) はセフェム系抗生物質であり, 多くのグラム陰性菌に対して強い抗菌力を持ち, β-ラクタマーゼに対しては安定で, Serratiaなどの弱毒菌やBacteroidesをはじめとする嫌気性菌にも抗菌スペクトルが拡大されている。今回我々は, 子宮摘出術施行患者を対象とし, 術前にCMXを投与し, 血清中濃度, 子宮及び付属器内濃度を測定したので報告する。

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