1988 年 41 巻 12 号 p. 1895-1905
Sultamicillin (SBTPC) 細粒の小児科領域における臨床効果並びに安全性について検討した。
1. Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus, Streptococcus agalactiae, Branhamella catarrhalis 及びEscherichia coliの臨床分離株に対するSBTPCの抗菌力をAmpicillin (ABPC) と比較した。SBTPCの抗菌力はβ-Lactamase産生H. influenzae, E coli, S. aureus及びB. catarrhalisに対してABPCに比べ特に優れていた。
2. SBTPC細粒10mg/kg投与時の血中濃度及び尿中排泄について検討した。Sulbactam (SBT) 及びABPCの血中濃度半減期はそれぞれ, 1.33時間及び1.61時間であつた。投与後6時間までの尿中排泄率はSBT58.7%, ABPC49.6%であつた。
3. SBTPC細粒を20例の小児患者 (肺炎8例, 気管支炎2例, 咽頭炎2例, 扁桃炎4例, 皮下膿瘍1例, 尿路感染症3例) に投与した。臨床効果は全例有効以上で, 有効率100%であり, 細菌学的消失率は75%であつた。
4. 副作用は軟便1例であり, 臨床検査値異常は認められなかつた。以上のことから, SBTPC細粒は小児の細菌感染症に対して有用であると考えられる。