The Japanese Journal of Antibiotics
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急性上気道感染症由来臨床分離株に対するSultamicillinの抗菌力第2報
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美中根 豊深山 成美西村 由紀子小田 清次田中 節子加藤 三枝子佐藤 久美子福本 寅雄
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1988 年 41 巻 12 号 p. 2065-2074

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抄録

著者らは本テーマの第1報1)において, 急性上気道感染症由来株(300株)に対するSultamicillin(SBTPC)の抗菌力をβ-Lactamase産生株, 非産生株ごとにMIC値を測定した成績を報告したが, 本第2報ではAmpicillin(ABPC), SBTPCの抗菌力をMICと共に1濃度ディスク法にて検討した。
一方, β-Lactamase産生能はアシドメトリーディスク法を用いて検討したが, それらの試験をすすめる際のβ-Lactamase産生能定性試験における手順に関する追試も行つた。
1. アシドメトリーディスク法は, 主にPenicillinase(PCase)を産生する菌種であるStaphylococcus aureus, Branhamella catarrhalis, Haemophilus influenzae, Neisseria spp.などではコロニーを直接(基質を含有する)ディスクに塗布しても判定が可能であるが, 主にCephalosporinaseを産生する菌種ではβ-Lactamaseの酵素誘導試験を行つた後の株を使用しないと, 反応が弱かった。そして, Klebsiella Spp.のようなムコイド状のコロニーを形成する菌種の場合は, 菌体表面の巨大なカプセルの影響を少なくする培地上のコロニーを用いることによって, 反応が鮮明となることが判明した。
2. ABPC, SBTPCの1濃度ディスク法によって得られた発育阻止帯(Inhibitory zone)の大きさは, MIC値をよく反映した。すなわち, β-Lactamase産生株(主にPCase産生株)に対してはABPCではMIC値が大きくなるのに反比例してディスク発育阻止帯が小さくなった。一方, SBTPCではβ-Lactamase産生株に対しても小さなMIC値を示し, MIC値を反映する大きな発育阻止帯を形成した。すなわちSBTPCに含まれるSulbactamのβ-Lactamase阻害効果は, ディスク感受性試験においても十分に発揮されることを確認した。

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