The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるRokitamycinの総合評価
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1988 年 41 巻 6 号 p. 646-662

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抄録

小児感染症に対するRokitamycln (RKM) ドライシロップの有用性を検討し, 以下の成績を得た。
1. 小児新鮮病巣分離株に対するRKMの耐性菌分離頻度は, Staphylococcus aureus 68株中4. 4%, Streptococcus pneumoniae48株中4. 2%と低率であり, Streptococcus pyogenes 96株については耐性菌は認められなかつた。
2. 小児での低~無酸症例は53例中2例, 3. 77%に認められた。
3. 小児にRKMドライシロップを5, 10mg/kg及び15mg/kg空腹時単回経口投与による血漿中濃度のピーク値は, それぞれ0. 25, 0. 55, 0. 74μg/mlであり, T1/2(β)は2. 18, 1. 97時間及び2. 00時間であった. 0-6時間の尿中回収率は, それぞれ1. 21, 1. 38%及び2. 23%と低値であつた。
4. 臨床検討は急性肺炎, Mycoplasma肺炎及び扁桃炎等を中心に実施され, 原因菌判明症例379例では, 著効186例, 有効144例, やや有効24例, 無効20例, 不明5例, 有効率88. 2%の成績であつた。 菌不明例を含めた全例598例についても, 著効247例, 有効269例, やや有効42例, 無効35例, 不明5例, 有効率87. 0%の成績が得られた。
5. Chlamydia感染症はキャリァー1例を含む12例で検討され, 又, Campylobacter腸炎は36例で検討され, いずれも有効の成績が得られた. Mycoplasma肺炎は66例で, 著効33例, 有効27例, 有効率90. 9%であった。
6. 本剤の至適投与量は20-40mg/kgと考えられた。しかし, S. pyogenes感染症の咽頭除菌を必要とする場合にだけ40mg/kg前後の投与量が必要と思われる。
7. 副作用は622例で検討され, 9例, 1. 45%に認められた。発疹の1例以外はすべて消化器症状であり, いずれも軽度であつた。
臨床検査値異常は455例のうち, 好酸球増多19例, 肝酵素異常8例などがみられたが, いずれも一過性で軽度なものであつた。

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