The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域の尿路感染症, 腸管感染症におけるNorfloxacinの臨床的検討
石川 純一松浦 俊人永井 宏尚貴田 嘉一松田 博村瀬 光春
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1990 年 43 巻 5 号 p. 877-883

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抄録

ニューキノロン系合成抗菌剤Nornoxacin (NFLX) について小児における有効性と安全性を明らかにする目的で体内動態, 臨床的有効性, 細菌学的効果, 副作用, 試験管内抗菌力について検討し, 以下の結果を得た。
1.NFLX100mgを経口投与した時の血清中濃度のピークは投与2時間後に認められた。半減期は2例での検討で4.2時間, 2.6時間であった。
2.尿路感染症10例, 腸管感染症4例の計14例でNFLX7.1-15.0mg/kg/日の経口投与による臨床的有効率は100% (14例/14例) であった。
3.細菌学的効果では尿路感染症では全例起因菌は消失したが, Campylobacterjejuniによる腸管感染症において1例が不変のままであり, 消失率は92.9% (13株/14株) であった。
4.臨床分離菌株における抗菌力の検討では, グラム陰性桿菌や, Staphylococcus aureusに対するMICはCefaclor, Amoxicillin, Nalidixicacid, Fosfomycin, Erythromycinに比べNFLXは明らかに優れていた。
5.副作用は1例に口渇を認めた。臨床検査所見では1例に好酸球増多を認めたが, いずれも軽度であり投薬を継続しえた。
以上の結果から, NFLXは小児の尿路感染症, 腸管感染症において有効且つ安全な薬剤と考えられた。

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