1991 年 44 巻 2 号 p. 207-212
Cefpirome (CPR, HR 810) を小児に投与し, その薬物動態の検討と臨床的検討を行った。
CPRを20mg/kg及び40mg/kgを30分かけて点滴静注した時の血漿中半減期は, それぞれ1.23±0.23時間, 1.37±0.35時間であり, 投与後6時間以内の尿中回収率はそれぞれ74.8±1.6%, 56.1±205%であった。
15症例 (腺窩性扁桃炎3例, 気管支炎3例, 気管支肺炎5例, 急性膀胱炎1例, 仙腸関節炎1例, 中耳炎1例, 外耳道炎1例) を対象にし, CPRの臨床的検討を行ったところ, 有効率は86.7%であった。起炎菌が同定され, 経過を追跡し得たのは7株 (Haemophilus influenzae 4株, Staphylococcus aureus 3株, Pseudomonas sp.1株) であり, 菌数が減少したS.aureus1株以外はすべて除菌された。臨床検査値の異常を2例に認あた以外, 副作用を認めなかった。
以上の結果から, CPR はS.aums や Pseudomonas sp.にも臨床上有効であり, 小児期に安全に使用できる抗生剤であると思われた。