The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科周産期領域におけるFlomoxefの基礎的・臨床的研究
山元 貴雄保田 仁介岡田 弘二岩破 一博
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1991 年 44 巻 6 号 p. 689-696

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抄録

産婦人科周産期領域におけるFlomoxef (FMOX) の基礎的及び臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
1.FMOX 1g静注後の母体血清中, 臍帯血清中及び羊水中濃度を測定した。
母体血清中濃度は投与後16分で41.9μg/mlを示し, 以後経時的に減少し, 投与後5時間19分で1.36μg/mlを示した。
臍帯血清中濃度は投与後16分で17.5μg/mlを示し, 以後経時的に減少し, 投与後約3時間で母体血清中濃度を上回り, 投与後5時間19分で2.88μg/mlを示した。
羊水中濃度は投与後16分で0.31μg/mlを示し, 投与後約3時間で7.85~15.8μg/mlと最高値に達し, 以後漸減する傾向がみられた。
2.産婦人科周産期感染症17例にFMOX 1回1~2g, 1日2回, 5~7日間点滴静注し, 本剤の有効性と安全性の検討を行った。
臨床効果は著効7例, 有効10例と全例有効以上の満足すべき成績であった。
自他覚的副作用は全例において認あられなかった。臨床検査値異常としてGPTの軽度上昇が1例に, GOT・GPTの軽度上昇が1例に認められたが, 7日後と18日後にはそれぞれ正常値に復した。
以上の成績から, FMOXは産婦人科周産期領域において有用性の高い薬剤であると判断した。

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