The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるPanipenem/Betamipronの基礎的, 臨床的検討
秋田 博伸佐藤 吉壮岩田 敏砂川 慶介横田 隆夫新田 靖子
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1992 年 45 巻 3 号 p. 318-328

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抄録

新しく開発されたカルバペネム系抗生物質であるPanipenem/Betamipron (PAPM/BP) について小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1. PAPMの抗菌力では, グラム陽性球菌Staphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniaeに対し, 良好なMIC値が得られた。グラム陰性桿菌では, Escherichia coli, Haemophilus influenzae, Pseudomonas aeruginosa, Branhamella catarrhalisに対しても良好なMIC値が得られた。
2. Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) 保存菌株 (215株) に対し, PAPMはMIC相関でImipenemよりも良好な抗菌力が得られた。
3. 臨床効果では, 除外, 脱落の3例を除く34例中, 著効23例, 有効10例, 無効1例であり, 有効率97.1%と高い値を示した。細菌学的効果では, 92.6%と高い消失率を示した。
4. 副作用としては, 発疹が2例に, 軟便・下痢が各々1例に認められ, 発現率は全体で10.8%であつた。臨床検査値異常は好酸球増多4例, 血小板増多2例, 総ビリルビン値上昇1例, GOT値上昇1例を認めた。
以上の結果から, 本薬剤は小児科領域において有用性の高い薬剤であると考えられる。

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