The Japanese Journal of Antibiotics
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「最新の抗菌薬XLV」Ceftibuten
熊澤 淨一
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1993 年 46 巻 10 号 p. 841-849

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抄録

Ceftibuten (7432-S, CETB) は, 塩野義製薬株式会社で創製された経口川セフェム系抗生物質で, 化学構造はセフェム核3位側鎖がH, 4位が非エステル型, 7位側鎖がZ-2-(2-Amino-4-thiazolyl)-4-carboxy-2-butenoylamino基を有する (Fig. 1)。
最近, 広範囲スペクトルの抗菌薬が数多く開発され, 広く使用されているが, 全国的に問題となつているMRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) の発症や, 菌の耐性獲得が促進化されている現状からみて, すべての抗菌薬が広範囲スペクトルである必然性がなくなつてきている。一部のポイントに優れた特徴を持つような特異的 (Specific) な薬剤の開発も重要である。
CETBの抗菌スペクトルは緑膿菌を除く広範囲のグラム陰性菌と一部のグラム陽性菌である。抗菌力はグラム陰性菌には極めて強いが, グラム陽性菌には弱い。このため開発過程において多くの困難な問題と遭遇し, 幸いにもこれらを乗り越えた薬剤である。本薬の最大の特徴は経口吸収が良いことで, このことが本薬の臨床効果に反映したと考えられる。
本薬の基礎及び一般臨床試験成績は第26回ICAAC (1986年9月, ニューオルリンズ), 第35回日本化学療法学会西日本支部総会 (1987年11月, 鹿児島) において検討された。又, 本薬は米国シェリング・プラウに導出され, 世界30数力国に申請中で既に11力国で承認が取得されている。以下に本薬の特徴について概説する。

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