The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるCefditoren pivoxilの基礎的・臨床的検討
田島 剛小林 正明根岸 祥子西村 修一吉田 晶子工藤 聡権東 雅宏中山 豊明阿部 敏明
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1993 年 46 巻 7 号 p. 589-595

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抄録

小児におけるCefditoren pivoxil (CDTR-PI, ME 1207) の基礎的・臨床的検討を行つた。臨床検討の対象は, 1ヵ月から10歳までの18例, 19感染症であった。投与方法は1回2.1~3.2mg/kg, 1日3回, 食後30分経口投与で4~10日間投与を行つた。
細菌感染症19例 (扁桃炎3例, 気管支炎1例, 肺炎7例, 副鼻腔炎 (上顎洞炎) 1例, 中耳炎4例, 尿路感染症1例, 皮膚軟部組織感染症2例) に対する有効率は100%であった。起炎菌が判明した症例では11例中8例が著効, 有効が3例と著効が勝っており全例有効以上であつた。
臨床的副作用では, 18例中2例に下痢が認められたが本剤の投与を中止するほど重篤ではなく, 本剤投与終了後特に治療せず軽快した。臨床検査値は18例中15例で検討されたが, 全例に異常が認められなかった。
細菌学的効果を判定し得た11例からは, 5菌種12株が分離された。菌種別にみると, Streptoceccus pneumoniae 2例/3例, Haemophilus influenzae 4例/4例, Staphylococcus,aureus 2例/2例, Haemophilus parainfiuenzae 2例/2例, Escherichia coli 1例/1例がそれぞれ消失した。S. pneumoniaeでは, 3株中2株は除菌できたが, 気道からの1株は除菌できなかった。3例についてCDTR-PIを3mg/kg, 食後30分経口投与し, 抗菌活性体Cefditoren (CDTR, ME 1206) の血清中濃度を測定した。最高血清中濃度は投与後40分と2時間にあり, 各々2.38μg/mlと0.72, 2.25μg/mlであった。
以上の成績並びにCDTRの肺炎球菌とインフルエンザ菌に対する強い抗菌力から, 本剤は小児の気道感染症の初期治療に単剤で使用し得る有望な抗生物質と考えられた。

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