The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
近年に検出した歯性感染症由来臨床分離株に対するCefteramの抗菌活性
出口 浩一横田 のぞみ古口 昌美鈴木 由美子深山 成美石原 理加小田 清次
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 47 巻 2 号 p. 129-142

詳細
抄録

1991年11月~1993年4月に, 全国の歯科・口腔外料19施設において採取し, 当所に送付されてきた歯性感染症患者採取材料より検出した臨床分離株を対象に, Cefteram (CFTM) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して以下の結果を得た。
1. 198症例, 198検体から合わせて430株が検出されたが, 菌種同定し得た株数は425株であり, 内訳はOral streptococci 204株 (48.0%), Peptostreptococcua spp.81株 (19.1%), Bacteroides spp.10株 (24%), Prevotella spp.23株 (54%), Porphyromonas spp.9株 (2.1%) などであり, グラム陽性菌と陰性菌の割合は前者が78.4%, 後者が21.6%で, グラム陽性菌の占める割合が高かった。
2. Oral streptococci, Peptostreptococcus spp.に対するcFTMのMIC90は前者には0.10μg/ml, 後者には0.05μg/mlであり, これらの菌種におけるCFTM耐性の経年的増加は認められなかったが, 該当する菌種の一部にはCFrM低感受性もしくは耐性株が登場していた。
3. Bacteroides spp., Prevotella spp., Porphyromonas spp., すなわち従来においてはGenus Bacteroidesに組み込まれていたこれらの菌種の一部にはCFTM耐性株が存在していたが, 総じてみるとこれらの菌種におけるCFrM耐性の経年的増加は認められなかつた。
4. taphylococcus aureus subsp. aureus6株中2株はMethicillin-resis吐ant S. aureus (MRSA) だつた。
5. 上記によりCFTMは, 1990年代を迎えた今日においても, 歯性感染症に関与し得る主な臨床分離株に対する強い抗菌活性を保持していることが示唆された。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top