1999 年 52 巻 3 号 p. 268-277
各種臨床材料から分離された高度耐性MRSAに対するteicoplanin (TEIC) とpanipenem (PAPM) のin vitro併用効果を検討した。
寒天平板希釈によるチェッカーボード法で, TEIC+PAPMはMRSA47菌株すべてに対して相乗作用を示し, FICindexの平均値が0.18±0.07の優れた併用効果が認められた。対数増殖期のMRSAに対してTEICとPAPMを各々1/4MIC併用した場合, TEIC先行添加後のPAPM添加では殺菌作用をほとんど示さなかったが, TEICとPAPMの同時添加, およびPAPM先行添加後のTEIC添加では良好な殺菌作用が認められた。MRSAとPseudomonas amginosaの混合培養に対して, MRSAに対するTEICとPAPMの各々1/4MICを併用した場合, MRSAに対する殺菌作用がTEIC1MIC単独の場合より増強され, また, P.aeruginosaに対してTEICは殺菌作用を示さなかったが, TEIC+PAPMの場合, PAPMによる殺菌作用が認められた。ヒト血中濃度をシミュレートした条件下で, MRSAとP.aeruginosaの混合培養に対するin vitro殺菌作用を検討したところ, TEIC200mg1日2回あるいは1回と, PAPM500mg1日2回の併用によってMRSAに対する殺菌作用が各々単独の場合より増強され, また, P.aeruginosaはPAPMによって殺菌された。