The Japanese Journal of Antibiotics
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ペニシリン耐性肺炎球菌に対するpanipenemのin vitroおよびin vivo抗菌力
福岡 隆井上 晴美阿部 友美大屋 哲
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2001 年 54 巻 7 号 p. 365-371

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抄録

ペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP: MIC of benzylpenicillin, ≥1.56μg/ml) による実験的マウス肺感染に対するpanipenem/betamipron (PAPM/BP) の効果をimipenem/cilastat(IPM/CS), meropenem (MEPM), cefbzopran (CZOP), ceftriaxone (CTRX), ampicillin (ABPC) およびvancomycin (VCM) と比較した。PRSPの臨床分離菌株9601 (血清型6型) または10693 (血清型19型) をddY系, 雄マウスに経鼻的に接種して感染を惹起した。感染18, 26, 42および50時間後に0.4, 2および10mg/kgの薬剤を皮下投与し, 感染66時間後に肺内の生菌数を測定した。本感染モデルに対してPAPM/BPは検討薬剤中最も優れた効果を示した。PRSP9601および10693に対するPAPMのMICsはそれぞれ0.125μg/mlであり, IPM (それぞれ0.25および0.5μg/ml), MEPM (それぞれ0.5および1μg/ml), CZOP (それぞれ2および1μg/ml), CTRX (それぞれ1μg/ml), ABPC (それぞれ4μg/ml) およびVCM (それぞれ0.5および0.25μ/ml) よりも優れていた。これらの結果から, PAPM/BPの優れたinvivo抗菌力はPAPMの優れたinvitro抗菌力が反映されたと考えられた。
臨床分離penicillin-susceptible S. pneumoniae (PSSP: MICofbenzylpenicillin, ≤0.05μ/ml), penicillin-intermediate S. pneumoniae (PISP: MIC of benzylpenicillin, 0.1~0.78μg/ml) およびPRSPに対するPAPM, IPM, MEPMおよびCZOPのMICsを寒天平板希釈法により測定した。これらのPSSP, PISPおよびPRSPに対する薬剤のMIC90sはそれぞれPAPMが0.012, 0.05および0.39μg/ml, IPMが≤0.006, 0.1および0.78μg/ml, MEPMが0.05, 0.39および156μg/mlおよびCZOPが0.2, 0.78および6.25μg/mlであった。このように, PISPおよびPRSPの臨床分離株に対してPAPMは検討薬剤中, 最も優れた抗菌力を示した。

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