The Japanese Journal of Antibiotics
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皮膚科感染症由来Staphylococcus属およびPropionibacterium属に対するNadifioxacinの抗菌活性
松崎 薫大美賀 薫長谷川 美幸佐藤 弓枝小林 寅哲
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2006 年 59 巻 4 号 p. 316-320

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抄録

Nadifloxacin (NDFX) は, 大塚製薬が開発したfluoroquinolone系抗菌薬で, 皮膚科領域感染症の外皮用薬として用いられている。われわれは, 1996年, 2000年, 2005年の三期にわたり, 皮膚科由来感染症患者検体より分離したStaphylococcus属2菌種およびPropionibacteriumacnes計575株のNDFXおよび対照薬に対する感受性を検討した。
薬剤感受性測定は, NDFX, levofloxacin (LVFX), clindamycin (CLDM) およびgentamicin (GM) の4薬剤を対象とし, 日本化学療法学会標準法に準じた寒天平板希釈法にて行った。
Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-resistant S.aureus (MRSA), Staphylococcus epidermidisおよびP.acnesに対し, NDFXは試験抗菌薬のなかでもっとも強い抗菌活性を有し, 経年的な耐性化は認められなかった。2005年分離のこれら4菌群に対するNDFXのMIC90は, それぞれ0.05μg/mL, 1.56μg/mL, 0.78μg/mLおよび0.20μg/mLであった。一方, LVFX, CLDMおよびGMでは, MRSAにおいて耐性株が認められた。CLDMおよびGMのMRSAに対するMIC50は, それぞれ>100μg/mL, 25μg/mLであった。また, GMはP.acnesに対するMIC50は, 12.5μg/mLであったが, NDFXはいずれの菌種に対しても両薬剤に比較し高い活性を示し, そのMIC50は, MRSAに対し0.05μg/mL, P.acnesに対し0.20μg/mLであった。
以上の成績からNDFXは, 1993年に製造販売が承認された後, 12年以上を経過した現在においても皮膚科領域感染症抗菌治療薬として有用であることが示唆された。

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