抄録
医療安全で近年叫ばれるレジリエンスは日本語で理解し難いが、その教育法は西洋文明流入前が参考になる。戊辰戦争で朝敵とされたうえ、数的・装備的劣勢で善戦した庄内・会津・長岡藩の教育と戦闘を調査・整理・分析・検討した。3藩とも儒学中心に思想・歴史・文芸を併せ人間性を養い褒章制度を整え、庄内・会津藩は実力進級制、庄内・長岡藩は藩政上位者による考査制度をとり、庄内藩は徂徠学的な個性尊重・自主自学・討論修学、会津藩は朱子学的な人格形成徹底、長岡藩は好学風土下の自発的入在学・課外学習が特徴である。戊辰戦争では3藩とも軍紀粛清で、庄内藩は創造的・合理的作戦で異次元的に勝負強く、会津藩は一致団結し精神面から底力を発揮し、長岡藩は河井継之助の陽明学的姿勢に導かれ創造的かつ執拗な作戦で長岡城を奪還した。レジリエンス向上には道徳・倫理教育と精神力強化、創造・応用・実践力に特化した教育、基本徹底が有用である。