1956 年 11 巻 1 号 p. 31-43
Lackschwarz extra は甚だ弱正帯電の, また Irisolechtviolett BBNは弱負帯電の類脂質染料である. ホルマリンまたは重クロム酸塩で固定された骨髄の塗布をこれ等で染めて観察した. ホルマリンで固定された細胞の核は一般に Lackschwarz extra によく染まり, Irisolechtviolett BBNには甚だ薄く染まる. また胞形質の基質は Irisolechtviolett BBNに淡く染まるが, ただ正染性赤芽球と赤血球の胞形質は濃染する. 好中前骨髄細胞, 成熟好中球, 単球の粒子は両染料に多少よく染まり, 好酸粒子は Lackschwarz extra に殆んど染まらない. 重クロム酸塩で固定されると, 通例特に細胞核, なお細胞によっては胞形質の粒子と基質がその両染料に多少よく染まるようになる. これは主にそれに含まれる類脂質の脱仮面によると解せられる.