Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
二十日鼠の神経中枢にて Nissl 氏灰白にある遊離類脂質の量の部位的差異
金田 武彦
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1956 年 11 巻 2 号 p. 329-339

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抄録
短時間ホルマリンで固定された二十日鼠の脳の凍結切片を, 類脂質を良く染め中性脂肪を染めない Viktoriablau と Alkaliblau で染め, また中性脂肪と類脂質を共に染める Sudanschwarz B で染め, 脳の諸部分に互って Nissl 氏灰白の遊離類脂質の量が調べられた. そして染色の結果から推定される Nissl 氏灰白の微視下超構造の密度と遊離類脂質量との関係が観察された. 超構密度が低く, 従って神経成分の多いと思われる Nissl 氏灰白には遊離類脂質が多い. その最も著しいところは大脳皮質の嗅部, 小脳皮質の分子層, 脊髄の辺縁帯である. 嗅覚に関係ある核の Nissl 氏灰白の構密度は中等度であるが, 類脂質の比較的多いことと赤核と脊髄の網様質が中性脂肪に富むことが注意を引いた.
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© 国際組織細胞学会
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