Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
家兎の上顎洞粘膜の網線組細胞連合とその抗体生産, 並びに粘膜の染料に対する透過性の実験に就いて
安田 和夫
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1957 年 11 巻 4 号 p. 503-516

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抄録
家兎の1側の上顎洞の粘膜にヂフテリー毒素を含有するブイヨンの濾液を3時間から数日間触れさせておけば, 1-7日後にその粘膜には他側の粘膜よりも著しく多くの中和抗体が証明せられ, 同時に粘膜の細網細胞と線維細胞から網組球または線組球と名づけるべき移行形を経て組織球が多く増数する. 濾液の注加せられた上顎洞の粘膜に於ける組織球等の増数はそこの細胞が静脈内に注射せられたトリパン青を取り, 強く生染することからもよく分る.
ヂフテリー毒素がよく上顎洞粘膜内に侵入することは, 類脂質に溶ける弱塩基性のビクトリア青は勿論, 類脂質に溶けない酸性染料であるトリパン青でさえそれに易く入ることから納得できる.
上顎洞の粘膜の網線組細胞連合の活動及び動員と粘膜の抗体の生産が相伴うことを考えると, 前者が抗体の生産に与ることがこゝでも殆んど疑いない.
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© 国際組織細胞学会
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