抄録
著者は Zuckerkandl 氏パラガングリオンの研究中, 3例の副腎上体を腹大動脈周囲の組織から剖出したパラフィン切片標本のなかで認めた. 即ち, 第1例は下腸間膜動脈の派出部附近の組織のなかに(生後1カ月の女児), 第2例は右側の腹腔神経節のなかに (生後1カ月男児) 見出し, また第3例は下腸間膜動脈の派出部附近の組織から, パラガングリオン様の小体として肉眼的に剖出したものである (65才の男性).
組織学的検査の結果, これらの小体における層的構成はいずれも細胞構築学的には, 正常の腎上体に比較して不規則ではあるけれども, その顕微鏡標本は腎上体としてのすべての特徴的な所見を示していた.