1957 年 13 巻 2 号 p. 185-197
超音波を作用させた蛙の有髄鞘神経線維をホルマリンで軽く固定し, 類脂質を染める弱塩基性のビクリア青と弱酸性のイリゾールエヒト青BLで染め, またオスミウム酸で固定し黒化して検べた. 超音波により髄鞘は先ず明らかに両種染料での染色性を増し, 類脂質の遊離することが示された. 同時に髄鞘の内面の所々から内に向って髄鞘物質が類球形をして突出する. 超音波が長く続けば髄鞘物質の染色が減じ, また上記の髄鞘物質の塊は紐の形に膨脹し, 〓曲し, 互いに融合する. 同時にオスミウム酸で強く黒染するようになる. これ等は中性脂肪が多く遊離し, 類脂質よりも多くなる結果であろう.