Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ヒスタミンの胃腺細胞分泌機能に及ぼす影響に就ての研究
I. ヒスタミン注射とヒスタミナーゼの影響
清水 慥吉
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1958 年 15 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

新鮮豚腎から Tabor の Step C まで精製したヒスタミナーゼ液を作り, 塩酸ヒスタミンと混合してラッテに皮下注射し, 胃腺細胞を観察した. 而してヒスタミン及びヒスタミンの分解産物の作用に関して胃腺主細胞に於て明瞭な所見を得た.
ヒスタミンの多い時 (3000γ程度) は注射後分泌顆粒の新生が旺盛で, 分泌空胞は注射後長時間を経て始めてやや多く現われる. ヒスタミンが減少するに従い(1800γ, 1200γ), 順次新生分泌顆粒は少く, 反対に分泌空胞の増加が顕著である. 更にこの分泌空胞は同じ量の塩酸ヒスタミンのみを皮下注射した場合と比較して明かに多いことが注目される. 従って胃腺主細胞の分泌顆粒新生はヒスタミンによって促進され, 分泌顆粒の空胞化, 即ち分泌顆粒の放出過程, はヒスタミンの分解物によって支配されるものと信じられる.

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© 国際組織細胞学会
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