Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ハイドロコーチゾン投与マウスの肝細胞に於けるミトコンドリアと脂肪滴との関係について
山元 寅男
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1958 年 15 巻 4 号 p. 625-631

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抄録
ハイドロコーチゾン投与後のマウス肝細胞に於けるミトコンドリアと脂肪滴との関係を光学顕微鏡, 位相差顕微鏡及び電子顕微鏡により研究し次の如き結果を得た.
1. 脂肪滴とミトコンドリアの間には電子顕微鏡で特異な関係が見出される. 脂肪滴はミトコンドリアによりその1面を取囲まれ, 屡々ミトコンドリアの外膜は脂肪滴の表面と密着している. 勿論この部では外膜は認められないが, 内膜は明らかに認められる.
2. 位相差顕微鏡では, 脂肪滴と密に接したミトコンドリアが認められ, この関係は電子顕微鏡像に類似している.
Heidenhain 氏鉄ヘマトキシリン染色標本では, ミトコンドリアが屡々空胞化しているように見えるが, これは恐らく脂肪を取囲んだミトコンドリアがその切截方向により或は空胞化している様に見えるものと思われる.
3. 従って, 肝細胞内の脂肪の合成及び酸化は, ミトコンドリアの内部で行われるのでなく, ミトコンドリアの外膜に接して, 而もミトコンドリアの強い影響の下で細胞質内で行われるものと考えられる.
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© 国際組織細胞学会
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