Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
ヒスタミン注射がラッテ肝に及ぼす影響について
藤江 君夫藤木 茂清水 慥吉
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1959 年 16 巻 1 号 p. 45-51

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抄録
毎日3mgの塩酸ヒスタミンをラッテに皮下注射し, 注射69回乃至470回の間に死亡或は頻死の状態に陥った動物15匹の肝を組織学的に観察した.
1. 肝の外観は溷濁した暗紅色を呈し, やや腫脹し, また弾力性を失ってもろく, 実質性変性を思わせる.
2. 肝小葉は鬱血 (73.3%) し, Glisson 氏鞘の血管は拡張するものが多い.
3. 肝細胞には溷濁腫脹 (100%), 脂肪変性 (60%) が注射回数の多少に関係なく見られ, また細胞壊死 (53.3%) が注射150回以上の動物に見られた.
4. 肝細胞核にも巨大化や退行変性が見られたが, 多くは細胞自体の変性に関聯しているようである.
5. 肝小葉中に未知の特殊細胞が現われ集団を形成する. 淡黄色乃至淡橙色を呈し色素に対する親和性に乏しい. 本研究ではその本態が把握出来なかったので, 附図にあげて説明にかえた.
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© 国際組織細胞学会
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