抄録
胎生期の人, 家兎, 天竺鼠, 大黒鼠の顎下腺, 膵, 肝, 腎の組織測定を行ひ, 細胞の成長と核の移動を觀察した. 人と動物の種類による胎生後期の腺細胞の大さの差は殆んどない. 顎下腺と膵の終末部の細胞は胎生後期に高さを増すが, 生後腺の分泌開始と共に減ずる. 核は發育中に細胞體の中央から次第に基底側に下る. 肝細胞は胎生後期にやや小さくなるが, 核の移動は見られない. 腎の主部細胞は既に胎生後期に發育と共に小さくなる. その核は基底側に下降するが, 顎下腺や膵ほど顯著でなく, 生後には却つて内腔側へ上昇の傾向を示すことのあるのが甚だ特異で, この上昇傾向は細胞の逆吸收の開始と關係があるらしい.