抄録
1. ヤモリ視索上核の神経細胞は胞体全体に分布している嚢状の粗面小胞体とその内腔に浮んだ電子密度の極めて大きい小体のために, 周囲の神膠細胞や一般の神経細胞から巳に弱拡大に於て容易に区別され得る.
2. 粗面小胞体内の小体は一般に円形又は楕円形を呈し大きさは種々であり, 小は400mμから大は核のそれを凌駕する事がある. 小体の断面は均質ではなくて, 小さなオスミウム好性の顆粒 (平均1000Å) で充たされている. その性状から判断してこの小体が光顕で見られる神経分泌物である事は問違がない, 但し小体中を埋める顆粒が Bargmann の所謂 Elementargranula に匹適するものか, それとも Methacrylat の不適当な小体内浸透に依って出来た人工産物であるかは不明である. 分泌小体とそれを囲む粗面小胞体の限界膜との間には通常明るい間隙が認められ, そこにはややオスミウム好性の糸状物が存在する. 従って生時にはこの間隙はゾル様物質で埋められているものと思われる.
3. Golgi 装置は一般に核の近くにあって, その発達は甚だ良好である. Golgi 野内にはその要素, 即ち Golgi-Membran, Golgi-Vakuole 及び Golgi-Vesikule の他にオスミーウム好性の粒子 (2000-3000Å) を含む空胞-恐らく Golgi 顆粒-と少数ではあるが該顆粒から由来したと思われる, より大きいオスミウム好性の封入体が見られる. この封入体はその大きさや外観に於て神経分泌小体に類似している. けれどもそれが神経分泌小体の前駆物質であるか否かに関しては未だ何んとも云えない.
4. 胞体に続く突起内に於ても胞体中に見られたものと同様の神経分泌小体がやはり限界膜に囲まれて存在しており, 小体と限界膜の間には可成りの間隙が見られる. だがRNPの粒子は最早や小胞体の外面にも基質の中にも見出せない. この他突起内には Elementargranula が孤立的に或は集団的に存在している.