小児の咳嗽診療ガイドラインが2014年に日本小児呼吸器学会から発刊され,良好な社会的評価を得ることができたが,より信頼性の高い内容を目指して,2020年の改訂に向けた検討が開始された。いくつかの新しく得られた知見に触れると共に,Mindsの指針に沿った透明性の高いエビデンスに基づいたガイドラインの作成が期待されている。しかし,エビデンスが不十分なため,経験に基づいた専門家の意見の記載となる部分も多々残されている。また,疫学を中心に欧米諸外国のデータを参考にせざるを得ないため,必ずしもわが国の診療実態を反映できていない可能性もある。作成の過程を通して今後の検討課題を明らかにし,経験に依存せざるを得なかった点がエビデンスに裏打ちされ,さらに改訂を重ねることでより充実した内容となることを期待したい。私見も交え,改訂に向けた課題について報告した。