抄録
33例の患者 (尋常性天疱瘡3例, Duhring 疱疹状皮膚炎17例, 多形滲出性紅斑13例) より材料を採取し, 組織化学的に検索を行なった.
尋常性天疱瘡では表皮真皮間にPAS陽性の基底膜が存在し, 形態その他健常と変らない. 唯, 真皮における浸潤の強い部分では消失する. このPAS陽性膜の一部はアルシアン青陽性であるが, 0.05%および3%トルイジン青の何れによっても異染性を示さず, スルファ化の後はPAS陽性の部分に一致してアルシアン青陽性となり, トルイジン青により異染性を示した.
Duhring 疱疹状皮膚炎ではPAS陽性膜は一部においては証明されなかった. アルシアン青, トルイジン青によっては, スルファ化後さえ, 殆んど認めることができなかった.
多形滲出性紅斑では Duhring 疱疹状皮膚炎の場合と全く同様であった.