Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
生体外に於ける胃腺主細胞, 膵細胞の分泌機能に関する研究
II. 或る種アミノ酸の効果について
藤江 君夫小池 敏郎畑中 淳治
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1962 年 22 巻 4 号 p. 305-315

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抄録
摘出した空腹ラッテの胃及び膵を37°C Tyrode 液中に入れ, l-ヒスチヂン, l-チロジン, l-ロイシン, 1-メチオニンを夫々添加して胃腺主細胞, 胃粘膜表在細胞及び膵細胞を観察し, 前篇で得た Tyrode 液中及びヒスタミン添加 Tyrode 液中での所見と比較考察した.
ヒスチヂンは Tyrode 液中の胃, 膵に作用して1. 胃粘膜表在細胞 Productin 空胞 (藤江) の放出を促進し, 2. 胃腺主細胞の分泌顆粒新生を促すと共に分泌顆粒の空胞化 (放出過程の初期段階) をも促進し, 3. 膵細胞に対してはチモーゲン顆粒の放出を若干促進する. 1. と2. の効果はヒスチヂンを空腹ラッテに皮下注射した時に認められる効果と全く同様である.
ロイシンは胃粘膜表在細胞と胃腺主細胞に対してはヒスチヂンとやや似た効果を示すが膵細胞に対しては影響を与えない.
チロジン, メチオニン添加実験では共に特色ある効果を見出せない.
これらの各所見をヒスタミン添加 Tyrode 液中に於ける所見と比較すると, ヒスタミンの如くに胃腺主細胞, 膵細胞の分泌顆粒新生を促進するものは見出し難い. 従って胃壁ホルモン Productin の作用から考えてその構成物中にヒスタミンの存在することは確実と思われる.
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© 国際組織細胞学会
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