Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
二三の腺細胞に見られた滑面小胞体の同心円状排列
黒住 一昌小林 靖夫佐藤 周三
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1962 年 23 巻 2 号 p. 113-122

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抄録
正常に飼育されたモルモットの膵臓外分泌部腺細胞と, 同じく正常なハムスターの下垂体前葉の塩基好性細胞に特異な同心円層板を形成する滑面小胞体を発見した. 膵臓の例では小胞体の内腔は閉鎖しているが, 下垂体の例では多量の等質性液状物質が貯溜している. この物体はすべての例で渦巻きではなく, 或る切片の面では同心円として観察され, またこの面に直角な面ではタマネギを上下方向に切った割面のように見える. 即ちこの物体は立体的には杯状の小胞体が多数重なりあってできたものと考えられる. この層板状物体を形成する膜は大部分滑面であるが, 辺縁部では一部粗面になっている. この物体が小胞体の一変型であることは確かであるが, その機能的もしくは病理学的 (もしその出現が異常であるならば) の意義を決定するには, この物体に関する知識の蓄積がまだ充分ではない.
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© 国際組織細胞学会
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