Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
トリチウム-サイミジン-オートラジオグラフィーによる家鶏網膜の細胞発生の分析
藤田 晢也堀井 正清
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1963 年 23 巻 4 号 p. 359-366

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抄録
トリチウム-サイミジン連続標識法を用い, 家鶏網膜の細胞発生を追究した. その結果を要約すると以下の如くである.
網膜で最初に分化してくるのは神経細胞層のニューロンであり, この過程は孵卵第5日に眼球の内側極から始まってくる. 分化の波はここから鋸状縁の方へ約2日かかって拡がる. 視覚細胞分化はこれに約1日ほど遅れて櫛に接した部分から始まり, 初め内側極の方へ, 次いで周辺部へ波及する. 両極細胞層の細胞は最も遅れて分化し, そのうちのあるものは孵化後にも増殖する. 視覚細胞は第8日以後急速にその分裂能を失うので, 孵卵第2週にみられる視覚細胞層の分裂像の多くは両極細胞層の母基細胞がエレベーター運動を行なった結果ここに現れたものと考えられる.
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© 国際組織細胞学会
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