抄録
フォルマリン固定, パラフィン切片のラッテ膵に対して蛋白質, アミノ酸に関係ある化学的呈色反応を組織化学的に試み, 膵細胞チモーゲン顆粒を観察した.
チモーゲン顆粒ではインドール核, フェノール核, イミダゾール核に関係する反応がすべて陽性で, ためにチモーゲン顆粒が少くともこの3種の核を有するペプチッドであることが推察できる.
給食或は塩酸ヒスタミン皮下注射の結果, 膵細胞の分泌機能が活動し, チモーゲン顆粒が細胞内で増数或は減少を示す時でも, 顆粒の呈色反応には変化を見ない. また膵細胞内チモーゲン顆粒と腺腔内に散在或は集団する顆粒とは呈色反応上同一と思われる.