Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
腺細胞の組織化学的研究
V. Paneth細胞分泌顆粒の呈色反応
七浦 寿雄河野 暢之藤江 君夫
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1965 年 26 巻 1 号 p. 39-46

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抄録
ホルマリン固定,パラフィン切片のラッテ小腸に化学的呈色反応を組織化学的方法によって応用し, Paneth細胞の分泌顆粒を検索した.
ビウレット反応(ポリペプチッド), Coleのアルデヒド反応(インドール核)は全く呈色せず,キサントプロテイン反応(フェノール核,フェニール核,インドール核)は呈色するが判定は困難である.これに反しニンヒドリン反応(アミノ基), Paulyのヂアゾ反応(フェノール核,イミダゾール核), Hanke-Koessler反応(フェノール核:桃色,イミダゾール核:黄色)は陽性に呈色し, Millon反応(フェノール核), Pearse反応(S-S基)では淡い陽性色を呈する.またテトラゾニウム反応(フェノール核,インドール核,イミダゾール核)は強く陽性色を呈し, 2, 4-ヂニトロフルオロベンゼン(16-24時間)にてフェノール核を封鎖し,過蟻酸にてインドール核を封鎖した後もなお強い陽性を示す.しかし塩化ベンゾイールで長時間前処理した後のテトラゾニウム反応は殆んど呈色しない.
更にPAS反応を用いると唾液に消化されない糖質が証明される.
以上の反応結果を綜合するとPaneth細胞の分泌顆粒にはチロジン,ヒスチヂン,チスチンのようなアミノ酸とともに糖質がその組成にあずかっていると考えることが出来る.
なお分泌顆粒をとりまく明暈と分泌空胞にあっては,いずれの反応も呈色しない.
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© 国際組織細胞学会
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