Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
先天性胆道閉塞症の肝臓の微細構造
安部 隆二
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1967 年 28 巻 5 号 p. 503-524

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抄録
先天性胆道閉塞症の肝組織と対照例および人胎児の肝組織を電子顕微鏡により観察した結果, 次の所見を得た.
1. 先天性胆道閉塞症のほとんどの肝細胞は その細胞周囲に多数の微絨毛をもつており, 隣接肝細胞と2,500∼6,000Åの細胞間隙を形成している.
2. この異常な微絨毛をもつ広い肝細胞間隙は, 肝細胞索の厚さ, または肝細胞表面の洞様血管からの距離に関係なく存在している.
3. 肝細胞核の偏在, 肝細胞の形の不規則もしばしば観察される.
4. 比較のためにしらべた胎生約6週の正常人胎児肝組織では, 胆管および通常の100Å幅の肝細胞間隙の存在がすでに認められる.
5. 以上の所見を現在までに報告されているヒトおよび動物の病的肝組織電顕像と比較検討し, 次のように推論した. すなわち 本症では, 胆道の閉塞と肝細胞の異常が同時におそらく同一の催奇型因子によつて発生する.
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© 国際組織細胞学会
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