Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
イヌの頸動脈小体の微細構造
小林 繁
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1968 年 30 巻 1 号 p. 95-120

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抄録
イヌの頸動脈小体では, 実質細胞は小集団をなして血管糸球の網の目の中に散在している. 重クロム酸カリに対す反応の光学顕微鏡観察で, 実質細胞に少数のクロム親和細胞と多数の非親和性細胞がみとめられる. 電子顕微鏡で両者の細胞質内に, 副腎髄質細胞の分泌顆粒に良く似た芯あり小胞が見られる. クロム親和性細胞の顆粒は大小不同でオスミウム酸にとくに強い親和性があり, 形が不正なので, 他の実質細胞のそれと明瞭に区別できる.
頸動脈小体には多数の神経線維が観察され, 各実質細胞には通常1本の神経線維が終ると考えられる. 膨大した神経終末の膜および間隙の分化などは副腎髄質細胞に終る自律神経終末に類似する. シナプス小胞の集合は神経側にあり実質細胞側にはなんらの分化も認められないことより, このシナプスは少なくとも形態的には遠心性と考えられる.
神経終末には球型のシナプス小胞のほか, これより小さい“扁平”のシナプス小胞が認められた. 扁平なシナプス小胞は抑制性シナプスの示標であるとの内薗の説を頸動脈小体に適用する可能性について論じた.
頸動脈小体に少数の神経細胞の存在することが電子顕微鏡で確認された. 神経細胞の細胞質内に多数認められる顆粒は, 神経終末に度々みられる大型の芯あり小胞に類似する.
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© 国際組織細胞学会
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